歯を失う原因と
インプラント治療
歯を失う原因
Causes of tooth loss
歯を失ってしまう原因はさまざまですが、とくに多いとされているのが歯周病や虫歯といった病気によるものです。お口の中を清潔にできていないと細菌が溜まり、大きく進行すると抜歯しか選択肢がない状態にまでなってしまいます。インプラント治療後は長く使えるようにするために歯磨きをしっかり行ない、メンテナンスを継続して受けることが重要です。また、ほかの理由で歯を失った場合でも、原因に応じて適切なインプラント治療を行ないます。治療後のケアのことも考えた、総合的な観点からインプラント治療を実施しています。
歯周病
歯を失う原因の中でも特に多いのが、歯周病です。歯周病は歯を支える歯周組織が細菌感染により炎症を起こし、進行すると歯を支える歯槽骨を溶かしてしまいます。その結果、歯がぐらつき、最終的には抜歯が必要になることもあります。
また、歯周病が原因で歯を失った場合、インプラント治療を受けた後も適切なケアを怠ると、インプラントの周囲に炎症が発生し、せっかく埋入したインプラントを失うリスクが高まります。当院では、治療後のメンテナンスも含め、長くインプラントを使い続けられるような総合的な治療とサポートを提供しています。
それ以外
虫歯
虫歯は、歯周病に次いで歯を失う主な原因とされています。進行すると歯の内部で炎症が広がり、神経が壊死するような状態になると、抜歯が必要になることがあります。虫歯は適切な歯磨きや予防ケアを怠ることで発生しますが、インプラント治療後も同様に清潔な口腔環境を保つことが重要です。インプラントを長持ちさせるためには、治療後の定期的なメンテナンスが欠かせません。
欠損
生まれつき歯が欠損しているケースもありますが、事故やケガで歯が抜け落ちたり、損傷した歯を抜歯する場合もあります。歯が欠けた状態のまま放置すると、噛み合わせの不具合や他の歯への負担増加など、さまざまな問題を引き起こします。そのため、インプラント治療などで失った歯の機能を補い、健康な口腔環境を保つことが大切です。
根尖病変
根尖病変とは、歯の根っこの先端（根尖）に炎症が起き、膿がたまるなどの症状が現れる状態を指します。虫歯による神経除去後に患部が腫れることや、歯根の破損による感染が原因となることが多いです。この状態を放置すると周囲の健康な歯に悪影響を及ぼす場合があり、状況によっては抜歯が必要になることもあります。
歯周病でもインプラント治療は受けられる？
歯周病のままインプラント治療を受けると、さまざまなリスクが伴います。たとえば、インプラントを埋入するための骨が不足していたり、インプラント周囲の組織が炎症を起こしやすくなる（インプラント周囲炎）ことがあります。また、手術部位が化膿しやすくなるなど、治療後のトラブルにつながる可能性も高まります。そのため、まずは歯周病を適切に治療し、インプラントを安全に埋入できる健康な状態にしてから治療を開始します。
歯周病にともなうリスク？
骨が足りない
インプラント治療では、人工歯根であるインプラント体を顎骨に埋入して固定しますが、そのためには十分な骨量や厚みが必要です。しかし、歯周病によって顎骨が吸収されると、インプラントを埋入するための骨が不足してしまうことがあります。このようなケースでは、骨を補う治療が必要になる場合もあります。
治療後に炎症が起きやすい
インプラント治療後、適切なケアを怠ると、インプラント周囲の組織が細菌に感染し、「インプラント周囲炎」を引き起こすことがあります。特に歯周病が治っていない場合、原因菌が口腔内に多く残っているため、インプラント周囲炎にかかるリスクがさらに高まります。インプラントを長持ちさせるためには、歯周病を治療し、日々のケアを徹底することが重要です。
歯周病のある方の治療の流れ
インプラント治療を開始する前に、まず歯周病治療から始めます。歯周病の状況に応じて歯石の除去や歯肉の治療、場合によっては抜歯などをします。炎症が改善したらインプラント治療ができる状態か検査によって確認し、骨が足りない場合は骨造成などを検討します。
詳しい内容については「当院のインプラント治療」および「インプラント治療の流れ」をご覧ください。
歯を抜く前にセカンドオピニオン
他院で「歯を抜かなければならない」と診断された場合、抜歯が本当に必要なのかどうか、再確認することをおすすめします。
当院では丁寧な検査とカウンセリングを行ない、大切な歯をできる限り歯を残せる治療を目指します。「抜歯はベストな選択肢なのか」「抜かずにすむ方法はないのか」と不安や疑問をおもちの方は、ぜひ一度当院のセカンドオピニオンをご利用ください。
多様な診療経験をもつ歯科医師が、患者さまの大切な歯を守るための適切な治療法を検討し、ご提案します。ぜひお気軽にお問い合わせください。
●インプラント治療を受けていただく上で知っていただきたいこと
○インプラント治療にともなう一般的なリスク・副作用
・インプラントの埋入にともない、外科手術が必要となります。
・高血圧症、心臓疾患、喘息、糖尿病、骨粗鬆症、腎臓や肝臓の機能障害などがある方は、治療を受けられないことがあります。
・手術後、痛みや腫れが現れることがありますが、ほとんどの場合1週間ほどで治ります。
・手術後、歯肉・舌・唇・頬の感覚が一時的に麻痺することがあります。また、顎・鼻腔・上顎洞（鼻腔の両側の空洞）の炎症、疼痛、組織治癒の遅延、顔面部の内出血が現れることがあります。
・手術後、薬剤の服用により眠気、めまい、吐き気などの副作用が現れることがあります。
・手術後、喫煙や飲酒をすると治療の妨げとなるので、1週間は控えてください。
・インプラントの耐用年数は、口腔内の環境（骨・歯肉の状態、噛み合わせ、歯磨きの技術、メンテナンスの受診頻度、喫煙の有無など）により異なります。
・毎日の清掃が不十分だった場合、インプラント周囲炎（歯肉の腫れや骨吸収など）を引き起こすことがあります。
・歯周病の進行状況によりますが、歯垢や歯石の除去時に痛みを感じることがあります。
・治療に対して患者さまが協力的でない場合は、改善に時間がかかり、治療期間・回数が増えることがあります。
・歯周病の基本治療で改善しないときには、外科的歯周治療や歯周組織再生療法が必要になることがあります。その場合、歯肉を切開するため腫れや痛みをともなうことがあります。
・治療後歯肉が下がることがあります。
・治療によって歯肉が引き締まってくるため、被せ物と歯肉の段差とが目立つことがあります。
・外科手術が必要となります。
・手術後、痛みや腫れが現れることがありますが、ほとんどの場合1週間ほどで治ります。
・治療後、骨がしっかりと作られるまで半年～1年の治癒期間が必要です。
・歯周病の方、心疾患や骨粗鬆症など内科的な疾患のある方は、骨造成治療が適さないことがあります。
・口腔内の衛生状態の悪い方、顎骨が足りない方、免疫力や抵抗力が低下している方、歯周病発生リスクの高いとされる糖尿病の方、喫煙する方は、すぐに治療できないことがあります。
・日常的に服薬しているお薬などが治療に影響することがあります。
・サイナスリフト・ソケットリフトの処置にあたり、上顎洞粘膜（シュナイダー膜）が破れる可能性があります。破れた状態により手術を中断する場合もあります。その場合、手術後に抗生剤を服用して感染を予防し、膜が自然に治癒するまで待ちます。また、術後に鼻閉感を生じる場合もありますが、長く続くようでしたら耳鼻科への受診をお勧めします。
・体調や細菌感染により、骨補填材と骨とが結合しない場合があります。この場合、原因を取り除き再治療を行ないます。
・骨の成長途中である18歳未満の方、妊娠中の方は治療が受けられません。